熟年離婚を進める上での注意点・ポイント
熟年離婚を進める上での注意点・ポイント
熟年離婚で特に注意しなければならないのは、離婚後の経済的生活基盤を確保できるかどうかです。特に女性はある程度の年齢を重ねていると再就職が非常に困難になるケースが多く、生活していくだけの安定的な収入を得られるかどうか、じっくり考えなければなりません。
離婚後の生活と現状把握
まずは現在の生活と、離婚後の生活の違いを現実的に考えた上で、収入がどれだけ変わるのか、生活費がどれだけ変わるのか、自分はどれだけの変化まで譲歩できるのか、を書き出してみましょう。
1. 家計全体の収入の把握
まずは、家計全体の収入を把握します。
- 夫の収入
- 妻の収入
- その他同居親族の収入
2. 家計全体の支出の把握
次に、家計全体の支出を把握します。
- 住居費関連
- 光熱費関連
- 食費関連
- 通信費関連
- 医療費関連
- 保険料関連
- 税金関連
- 教育費関連
- 交通費関連
- 交際費関連
- その他
3. 家計全体の余剰状況の把握、自由に使える金額の把握
家計全体の収支から、月単位や年単位の収支状況を把握します。
4. 資産状況の把握
最後に資産状況について把握します。
次に、どのようにすれば生活基盤を確保できるのかを考える必要があります。具体的には、「年金分割」、「財産分与」といった制度の利用のほか、子供や親戚などと暮らすことも考慮に入れて、離婚後の生活からできるだけ不安をなくす努力をしなければなりません。離婚時にしっかりと資産をもらう(財産分与)のみでは、その後長く生活していくことを考えると不安がありますので、年金分割について調べておくことは重要だと思います。
熟年離婚の方法
どちらか一方が離婚を申し出たあとに辿る道筋はいくつか考えられます。
1. 話し合いの末に復縁(調停になってから復縁する場合もあります)
2. 協議離婚
3. 調停離婚
4. 裁判離婚
詳細:「離婚の種類」
一般的には、まずは夫婦の間で離婚についての話し合いをして、「協議離婚」を目指します。
当事者間での話し合いでは離婚の合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて「調停離婚」を目指します。ただ、調停も合意に至ることができなければ、不成立となります。
調停が不成立となった場合には、さらに訴訟提起をして「裁判離婚(和解離婚を含む)」を目指すという順になります。
熟年離婚を進める上でのポイント
熟年離婚においては、なるべく多くの財産分与や慰謝料、その他の給付を受けられるかどうかが、離婚後の生活を左右する可能性が高いですので、一般的な道筋をたどる前に、しっかりとした準備をする必要性が高いといえます。
十分な準備をせずに、とりあえずということで離婚してしまうと、例えば、後から財産分与を受けようと思っても時効により受けられなかったり、相手方が財産を浪費してしまっていて実質的に受けられないというような事態もありえます。年金分割についても、時間的な制限がありますので、同様の事態が生じえます。
一方で、長く夫婦生活を続けてきたがゆえに、財産分与等について決めないといけないことが多数存在する場合も珍しくありません。
このように、熟年離婚の場合、検討しないといけない要素が数多くあります。それゆえ、お早めに専門家である弁護士に相談することをお勧めします。