【離婚事由】夫が失踪してから6年が経過したが、離婚はできるのか
夫と婚姻して3年が経過したころ、突然、夫が失踪しました。夫が失踪してから既に6年が経過します。私としては、夫と離婚して、新たな生活を始めたいと考えているのですが、このような場合、離婚はできるのでしょうか?
民法には、離婚事由として「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」という規定があります(民法770条1項3号)。
この離婚事由に該当するためには、配偶者が生きているのか死んでいるのか分からない状態が3年以上続くことが必要であり、どこにいるのかは分からなくても、定期的に手紙が来るなど、生きていることがはっきり分かる場合には、この離婚事由には当たりません。
また、離婚をするには、裁判離婚の方法しかありません。すなわち、裁判所に提訴して、親族・友人の陳述書や警察への捜索願など、配偶者が生死不明であることを立証するための証拠資料を提出し、離婚判決を得ることが必要となります。
このようなケースでは、「配偶者から悪意で遺棄されたとき」や「婚姻を継続し難い重大な事由」など、他の離婚事由に当たる可能性もありますので、生死不明の立証が難しい場合には、そうした他の離婚事由を主張した方が有利なこともあるでしょう。
なお、生死不明が7年以上続く場合には、失踪宣告という制度を利用することも考えられます。失踪宣告の審判が出されると、失踪者は失踪期間満了のとき(7年後)に死亡したものとみなされますので、残された方は再婚することが可能になります。
どのような手続を選択し、どのような主張・立証をしていくかについては、専門的な知識・経験も必要になります。お困りの場合には、一度当事務所までご相談にいらしてみてください。