【養育費】強制執行手続は、養育費の未払いがある度に、申立てなければならないのか
強制的に養育費を支払わせる手続があることは分かりましたが、強制執行手続は、養育費の未払いがある度に、申立てなければならないのでしょうか。
一般的な強制執行の手続では、既に支払期限が到来しているのに支払いがなされていない債権でなければ、強制的に支払わせることはできません。しかし、これでは、生計の維持に不可欠な養育費等についても、支払われなくなる度に、その都度強制執行の申立てを行わなければならず、時間やお金といった面で大きな負担になってしまいます。
そのため、養育費その他の扶養義務等に係る債権については、既に支払期限が到来している養育費の支払いが一度でもなされていないときは、まだ支払期限が到来していない将来の分についても、相手方の給料等を差し押さえることが特別に認められています。この点が、他の一般債権との大きな違いです。
具体例
1、2月分の「家賃」が支払われない(2月分まで支払期限到来済)
強制執行手続の申立てでは、1月分と2月分を強制的に支払わせることができるにすぎません。
3月分以降に未払いが生じた場合には、改めて強制執行手続を申し立てることが必要です。
1、2月分の「養育費」が支払われない(2月分まで支払期限到来済)
強制執行手続の申立てにより、1月分と2月分は強制的に支払わせることができます。
また、3月分以降についても同時に申立てをしておけば、3月分以降に未払いが生じた場合に、改めて強制執行手続の申立てをしなくとも、未払い分を強制的に支払わせることが可能です。