【離婚事由】妻が精神病にかかり入退院を繰り返している場合、離婚は認められるのか。
結婚してから10年が経った頃から、妻が精神病にかかり、入退院を繰り返している状態です。妻の介護にも疲れ切ってしまったので、妻と離婚したいのですが、認められるのでしょうか。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないときは、民法上の離婚事由に当たり、離婚の請求が認められます(民法770条1項4号)。
ここで、「強度の精神病」というのは、統合失調症、躁うつ病、偏執病などの高度の精神病により、夫婦の協力義務が十分に果たし得ないような状態を指しています。成年後見開始の審判を受けているような場合に限定されるものではありませんが、アルコール中毒や単なるノイローゼといったものは当たらないとされています。
「強度の精神病」に当たるかどうか判断に当たっては、医師の診断や、場合によっては専門医の鑑定が必要となるでしょう。
また、「回復の見込み」は、一般に、一家の夫(妻)としての任に堪えられる程度まで回復できる見込みのことを指すとされています。
さらに、回復の見込みのない強度の精神病に当たらない場合であっても、事情によっては、「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとして、離婚が認められる場合があります(同項5号)。
一方、回復の見込みのない、強度の精神病に当たる場合であっても、精神病者の病気の程度や、今後の療養、生活についての見通し(具体的方途の有無)等を考慮して、裁判官が裁量により離婚請求を認めないということもあります。
このように、離婚請求が認められるかどうかは、様々な事情を考慮した法的判断になりますので、是非一度弁護士にご相談下さい。