【親権・監護権】親権と監護権の違い

Q質問

 別居中の妻と、離婚後の子どもの親権をめぐって争いになっています。親権とは別に監護権というものがあると聞きましたが、何が違うのでしょうか。どちらか片方だけでも取りたいと思っているのですが、そのようなことは可能でしょうか。

 
A回答

 親権とは、父母の養育者としての立場からくる権利義務の総称と言われており、子の身上に関する権利義務と子の財産についての権利義務の双方に及んでいます。
 一方、監護権とは、子を現実的に養育する権限であり、親権の一部を構成するものです。
 
 親権の機能を分解して複数の者に付与することは原則としてできませんが、監護権については、親権者でない親に分属させることは認められています。
 したがって、父親が親権を、母親が監護権を取得する、というような決め方も可能です。
 
 もっとも、親権者と監護権者が父母に分属していると、後に子の養育方法をめぐって紛争が再燃するということにもなりかねず、それが最善の方法なのかということは、子の利益の観点から、慎重に考える必要があります。
 裁判所も、親権者と監護権者を分属させることについては、慎重な考え方を取っています。
 実際、過去の裁判例では、母親を監護権者、父親を親権者に指定されたケースで、監護権と親権とを父母に分属させることが適切な解決方法である場合もあるとしても、本件において双方の適切な協力が期待されうる状況にあるとはいえず、監護権者として適切な母親から親権のみを切り離して父親に帰属させるのは適当でないとして、親権者を母親に変更した事例も出ています。
 
 このように、親権と監護権を分属させることは、父母双方の妥協点として考えるべきではなく、子の利益にかなうか否かという観点から検討する必要があるでしょう

 

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