身に覚えのない暴力等を理由とする元配偶者からの保護命令申立てを排斥することに成功した事例
身に覚えのない暴力等を理由とする元配偶者からの保護命令申立てを排斥することに成功した事例を紹介します。
事案の概要
依頼者 | 30代男性 |
相手方 | 30代女性 |
子ども | 未成年 |
依頼者は、別件で当事務所に依頼されていましたが、円満に協議離婚したはずの元配偶者である相手方から離婚後1年半経過したころに、突然、配偶者暴力等(いわゆるDⅤ)に関する保護命令を申し立てられたことから、当事務所弁護士に再度相談されました。
依頼者は、主に性格の不一致等が理由となり相手方と協議離婚するに至りましたが、婚姻期間中、相手方及び子どもに対して暴力をふるったことはなく、離婚直後に公正証書も作成し、離婚後も子どもを交えて複数回面会して食事をするなど、離婚した後も相手方とは良好な関係を維持していました。
それにもかかわらず、依頼者は、相手方から突如、弁護士を通じて保護命令の申立てをされました。そして、相手方弁護士が主張する申立ての理由は、「婚姻期間中の依頼者による相手方に対する暴力」つまり「DV」という、依頼者にとっては全く身に覚えのないことでした。
そこで、相手方弁護士による申立てには理由がないことを裁判所に認めてもらうため、当事務所がこの保護命令申立事件(以下「本件」といいます。)についても依頼を受けることになりました。
解決までの流れ
一般に保護命令申立事件は、民事保全手続という、対応にスピードおよび迅速性が要求される手続であり、今回の事案も申立日の10日後に審尋期日が指定されていたため、当事務所弁護士が速やかにかつ慎重に相談者から事情を聴取し、相手方の主張する暴力は存在しないことを法的に主張していきました。
また、依頼者の主張を裏付ける疎明資料として、依頼者と相手方の婚姻中の仲が良かったときの旅行写真や、離婚後に相手方から受け取った感謝の言葉が記載された手紙等を裁判所に提出し、相手方の申立ての「却下」を求めました。
保護命令申立事件としては、異例とも言える3回の審尋を経て、結果的に相手方の申立を却下する決定を獲得することができました。なお、相手方弁護士はこの決定に対して不服を申し立てることなく、確定しました。
※ 保護命令とは、相手方から申立人に対する身体への暴力を防ぐため、裁判所が、6か月間、申立人への身辺つきまとい行為、申立人の住居勤務先等へのうろつきを禁じる命令です。あわせて、子及び親族等への接近禁止命令制度も存在します。保護命令に違反すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。
解決のポイント
1. 保護命令事件は、申し立てる側、申し立てをされる側、いずれも、ある程度正確な見通しを立てることが出来る弁護士事務所に依頼しないと、不利益な判断をされる可能性があると言えます。
2.保護命令事件はとにかくスピードが要求されるため、当事務所弁護士が受任後、速やかに依頼者ご本人への的確な事情の聞き取りを行い、時機を逸することなく的確な反論を行うことに成功した事例
3. 保護命令は、一般的に暴力(DV)を行ったとされる男性側が不利であるところ、資料をもとに法的に裁判所を説得し、保護命令申立てを「却下」するとの決定を獲得出来た珍しい事例
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- 不貞行為の慰謝料として高額の請求をされた事案において、支払額を請求額の5分の1に抑えて和解した事例
- 婚約の成立を証明する直接的な証拠がない案件について、婚約を破棄したことに対する損害賠償として、交渉で100万円を回収した事例
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- 離婚にあたり、夫に900万以上の財産分与の支払いを合意させた事例
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- 不貞により婚姻中に第三者の子を出産した妻との離婚問題において、慰謝料総額300万円を認めさせた事案
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