養育費について
養育費とは?
養育費とは、一般には、子が社会人として自立するまでに必要となる費用のことをいいます。
衣食住に要する費用や教育費、医療費、娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用が養育費にあたります。
養育費をいつまで支払うのか、という支払期間の目安としては、①20歳、②高校卒業までの18歳、③四年制大学卒業までの22歳などが考えられます。
養育費の算定
養育費の額は、負担する側の経済力や夫婦の生活水準によって変わってきます。基本的には、双方の収入のバランスに応じて養育費を算定していきます。
財産分与や慰謝料は一括で支払うのが原則ですが、養育費は通常定期的に負担していきます。
養育費の額を決定するのも難しい問題ですが、離婚の際によく話し合って具体的に決めておかないと、後々トラブルになることもあります。
養育費算定表
令和元年12月23日、従前家庭裁判所において養育費又は婚姻費用の算定をする際に活用されてきた資料(標準的な養育費・婚姻費用の額を簡易迅速に算定するための標準算定方式・算定表)の考え方を踏襲しつつ、基礎となる統計資料を更新するなどした標準算定方式・算定表(令和元年版)が裁判所より公表されました養育費の金額は、下記を参考に、話し合いで決めるのがよいでしょう。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について(裁判所ホームページ)
養育費の変更
養育費の支払いは、長期間に及ぶことが多いです。支払い期間中に、それぞれの事情が大きく変わることがあります。
例えば、養育費を負担する側の転職、失業、病気、養育費を受領する側の再婚などがそれにあたります。
基本的には、離婚時に決めた養育費の額や支払い期間を変更することはできません。
しかし、上記のように「経済的事情が大きく変化した場合」には、養育費の増額や減額が認められることもあります。
まずは、お互いに話し合い、協議で養育費の額を変更すべきです。協議で相手方の同意が得られない場合には、家庭裁判所に養育費変更の調停を申し立てることになります。
養育費が支払われない!?
「離婚時に約束したのに養育費の支払いが滞っている」
「最初は払ってくれていたが、生活が苦しいとの理由から支払ってくれなくなった」
「何の連絡もなく、突然、養育費が支払われなくなった」というご相談が多く寄せられます。
親には子を育てる義務があり、これは離婚したからといって消えることではありません。なぜなら、離婚は夫婦の問題であり、養育は親子の問題だからです。
相手には離婚時に決めた養育費を支払う義務があり、あなたにはそれを受け取る権利があります。
しかし、実際には養育費の支払いが滞るというケースは全体の50%以上にもなると言われています。
養育費の支払いが滞った場合、相手に養育費の支払いの催促が面倒になり、結局諦めてしまうケースが多いようです。養育費を支払わない人の中には、支払義務はあっても無視していれば問題ないだろう、そのうち諦めるだろうと思っている方もいるようです。
養育費はお子さんを育てるための大切なお金です。
その大切なお金を相手に払ってもらうための方法が強制執行による給与等の差し押さえです。
強制執行認諾文付きの公正証書
仮に、養育費の支払いが滞った場合、公正証書の有無が重要となります。「強制執行認諾文付き公正証書」とは、強制執行されることを承諾している文書です。公正証書を作成している場合、地方裁判所に強制執行の申し立てをすることができます。
強制執行
強制執行とは、一般に、約束通りに慰謝料や養育費などの金銭が支払われない場合に、公正証書や債務名義(審判・判決など)に基づき、強制的に相手側の財産を差し押さえ、支払いを実行させる制度です。
強制執行の対象となるものは、主として以下のものが挙げられます。
- 給与(会社勤務の場合)
- 相手方名義の不動産
- 相手方名義の預金・貯金
- 相手方名義の生命保険
強制執行の申立てまで行ったケースの多くで、相手側は支払いに応じています。強制執行の申立てはご自身でもできますが、申立てには法的な専門知識が必要になります。公正証書を作ったのによくわからずに強制執行しなかったということでは意味がありませんので、弁護士にご相談することをお勧めします。